インタビュー
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ボランティアなどを通して地域とのつながりを大切にしています
当院のある場所は勤務医時代に毎日通っていた道沿いで、私にとってなじみ深い土地です。休日には金沢区のボランティアガイドをしたり近くを流れる川の清掃作業をしたりしています。院内の清掃も自ら取り組み、大好きなサッカーのユニフォームを着て作業に励んでいます。
無防備なお口の中を見せる場所だから、あえて半個室の診療室に
当院を開くにあたり、地域にお住まいのお子さまからご年配の方まで来院しやすいよう、バリアフリー設計にしました。土足のまま、車椅子でも入っていただける作りになっています。
中でもこだわったのは、診療室を完全個室ではなく、あえて半個室にした点です。お口の中という無防備な場所を見せるのに、医療者とはいえ歯科医師やスタッフと密室に二人きりというのは、患者さまにとって緊張する状況ではないでしょうか。そこで、天井付近を開放したスペースにしつつ、高い壁でプライバシーにもしっかり配慮しました。
一般的な歯科治療にも取り組みたいと思い、開業しました
患者さまに対する気持ちは、大学病院勤務時代も開業した今も変わりません。しかし、診療の内容という点では大きく変わりました。大学病院では、お口の中のがんなど歯科口腔外科の治療がメインだったからです。一般的な歯科の患者さまをもっと診てみたいという思いもあり開業をした現在では、歯科口腔外科で積んだ研鑽を生かしつつ、保険診療を中心に幅広い診療をしています。
一般的な治療方法に加え、心身医学的な視点で診療しています
大学病院で働いていた頃、手術をしても抜歯をしても痛みが続くケースがあることに気付きました。原因を探ってみると、歯自体の問題ではなく、夫婦間の問題や職場の人間関係といった社会的なストレスに起因している場合があることが分かりました。
私たちは病気ではなく、患者さまという人間を診療します
その痛みが心身的なものに起因していると判別するポイントは、お口の中ですと舌にあります。口内炎やがんなど舌そのものに問題がある場合は舌を使うときに痛くなりますが、心身的な症状の場合は触っても痛くなく、食事中はむしろ楽になります。そこでいろいろとお話を伺っていると、生活の中に何か発端になるものが見つかることが多いですね。
実は、心身医学的な視点というのは特別なものではありません。私たちは病気ではなく患者さまという人間を診療しているので、心身医学的な考え方は医療のどんな分野においても共通するものです。体と心は切り離せませんから、患者さま全体を診ていかなければならないと思っています。
虫歯と歯周病を念頭に、それらを予防する口腔ケアに注力
山形県酒田市に日吉歯科診療所の熊谷崇先生という方がいらっしゃるのですが、私はこの先生の考え方に大きな影響を受け、研修を受けました。
虫歯などの治療に先立ち、口腔の状態を詳しく検査して状態を改善することが長持ちにつながるというものです。
この考え方に基づき、私も治療前の検査に時間をかけるようになりました。急性や主訴の疾患は優先しますが、それ以外は、まず、口腔内を良い環境に整えてから、治療を行います。このようなシステムにすることで、年2,3回のメンテナンスだけに通院されている方が増えて、良い流れになると考えています。
顎関節症の治療は私が得意とするところです
当院には、顎関節症の方が多くお見えになります。顎関節症はストレスによる食いしばりが原因になることがあると同時に歯科口腔外科的な面もあり、私が非常に得意とする分野です。顎関節症以外でも、神経症のような症状で受診される方が月に2、3人はいらっしゃいますね。
また、大学病院勤務時代から親知らずの治療に携わり、当院でも抜歯を多く手掛けています。
多くの患者さまとの出会いが、今の自分を形作っています
これまで多数の患者さまとの出会いがあり、どの方との出会いも今の自分を形作る下地になっています。患者さま一人ひとりから、多くのことを学ばせていただきました。
中でも印象深いのは、京都大学で生物学研究をされていた木原均先生です。私は歯科医師を志すようになる前、木原先生の品種改良に興味を持っていました。その先生が亡くなる少し前に私が勤務していた病院に入院されていたことがあり、歯の消毒をさせていただいたことがありました。あこがれの先生に接することができ、嬉しかったです。
自分だけでお口のメンテナンスができる方はほとんどいません
誰もが毎日使っているお口ですが、ご自分の力だけで十分なメンテナンスができる方はほとんどいらっしゃいません。お口を健康的に保つため、4か月から半年に1回くらいは歯科医院でメンテナンスを受けましょう。虫歯になってから治療するより、いい状態を維持して予防することが大切です。
また、歯科口腔外科の分野では一般的には難しいとされるケースを手掛け、地域医療と大学など大きな病院との中間を担う役割をしていければと思います。